行政書士の開業資金はいくら必要か

開業準備

行政書士の開業資金については、大きく2つにわけて考える必要があります。開業当初にかかる費用と軌道に乗るまでの運転資金です。行政書士専業の場合、運転資金に加えて、軌道に乗るまでの生活費も考慮に入れたほうがよいですね。

行政書士の開業当初にかかる費用

行政書士事務所を開業する時にかかる費用をまとめてみました。人によって、業務によっては、この他にもかかる費用があると思いますが、誰にでも共通してかかる費用を列挙しています。

行政書士会への登録費用

所属する都道府県によって異なります。東京都行政書士会の場合、入会時に諸費用含めて約30万円、年会費がなんだかんだで約10万円です。その他、ほとんどの当道府県支部では、市区町村単位で支部会があり、だいたい年会費として3~10万円かかります。

都道府県の行政書士会費に加え、支部会費もかかるので、最初は結構大変ですが、これはもうしょうがないので、割り切って払いましょう。なお、滞納していると、行政書士会から連絡が来たり、役員の方が督促に来たりします。督促する仕事を担当している行政書士の方に話を聞いたことがあるのですが、督促するほうもいろいろ大変なようです。

事務所を借りる費用

事務所を借りる場合、敷金、礼金、仲介手数料、保証金などがかかります。行政書士事務所として借りる場合、事業用となりますので、敷金や礼金が自宅用の倍になることもあります。私の事務所の場合、敷金6ヶ月(退去時に2ヶ月分だけ戻る)、礼金1ヶ月、仲介手数料1ヶ月、保証金1ヶ月です。その他に、火災保険料が2年間で約3万円かかりました。

また、事業用として借りる場合、家賃に消費税がかかります。今後、消費税率も上がっていくようなので、この点も考慮しておきましょう。

それから、事務所を借りるということは、当然、光熱費がかかります。インターネット回線も必須です。固定電話はつけなくてもよいですが、やはりあるにこしたことはないでしょう。

ホームページ製作費用

無料でつくる方法もありますが、あまりお勧めしません。お客様が見たときに、いかにも自作のホームページだと、信頼感が失われます。自作のホームページなら、むしろないほうがよいこともあります。業者に依頼する場合、30~100万円程度かかります。4.5 書籍代
最初から専門書を大量に揃える必要はありませんが、業務に関する書籍は、最低20冊程度は持っておきましょう。

名刺・封筒など

行政書士に名刺は必ず必要です。開業したばかりの方の名刺は、どれも似たものになってしまいがちですが、顔写真を入れると、確実に目立ちます。少なくとも、名刺をもらった人が名刺を見返した時に、思い出してもらいやすくなります。

名刺に載せる顔写真は、きりっとした顔よりも笑顔のほうが好感を持たれます。優しい笑顔、歯を見せた笑顔、とびっきりの笑顔。何でもいいです。私もそうなのですが、中途半端に笑うと、ぎこちなくなってしまうので、もう開き直って大笑いの写真を載せるのもお勧めです。ホームページに載せるのは勇気がいりますが、名刺は渡した人しか見ません。

あと、表面に笑顔、裏面に後頭部の写真を載せていた行政書士の方もいました。茶目っけがあって好感を持てますね。

それから、できれば、事務所の名前入りの封筒もあったほうよいですね。印刷代含めて1枚15円くらいから作成できます。A4の書類が入る角2の封筒と、長3の封筒をよく使います。この2種類の封筒に事務所名や住所を印刷しておきましょう。最近では、少数から印刷してくれる業者もありますが、割高になるため、開業当初の時間のある時に、まとめて印刷しておいたほうが安上がりです。あと、差異化を図るためにも、事務所のロゴを作成しましょう。最近では、ビジネスマッチングサイトなどで、簡単にデザイナーを探すことができます。私がいつも使っているのは、「ココナラ」です。他にも、「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったビジネスマッチングサイトがあります。いずれも、基本的にはフリーランスのデザイナーが登録しているので、稀に、「あれっ」と思うような品質で納品されることもあるのですが、おおむね、費用対効果は良いと思います。

余談ですが、こうしたビジネスマッチングサイトに、行政書士の方も登録しています。そして、おおむね高評価を受けています。個人向け業務をされるなら、良い集客ツールなのかもしれませんね。

事務所を運営するために毎月かかる費用

• 事務所の家賃、光熱費
• 移動のための交通費
• 広告宣伝費
• ホームページ運営費、レンタルサーバ代等
• 備品購入費

行政書士事務所を開業する前に用意する書類と業務ソフト

相談チェックシート、手続きの流れ、価格表を用意しておきましょう。こうした書類を用意しておくと、いつお問い合わせが来ても慌てなくてすみます。

相談チェックシート、ヒアリングシート

相談時に、お客様に聞くべきことを一覧にしておきます。相談に慣れていなくても、順番に聞いていけばよいので、スムーズな相談が可能になります。また、確認漏れを防げます。

ただ、質問攻めという雰囲気にならないように、気をつけましょう。逆の立場になってみるとわかるのですが、たとえば建設業許可の要件を確認する際、いくら要件確認のためとはいえ、いきなり従業員数や売上を聞くのは失礼にあたります。お客様に質問する時は、できるだけ、なぜこの質問をするのかを簡単に説明してから質問しましょう。

手続き別 必要書類一覧

手続きに必要な書類一覧です。お客様に用意してもらう書類と、行政書士が用意する書類に分けて記載しておくと便利です。

手続きの流れ

手続きの流れを書面にしておくと、お客様に説明しやすいです。お客様がやること、行政書士側でやることが一目でわかるようにしておくとよいですね。

また、作業ごとに番号をつけておくと、あとあと便利です。お客様から業務の進捗状況を聞かれた時、「今7番の段階です」と回答できます。

価格表、報酬一覧

報酬を聞かれて、すぐに回答できないと困ります。行政書士会のルールでも、事務所に価格表の提示が義務付けられています。

なお、業務が複雑で、すぐに正確な料金を提示できないケースもあると思います。その場合、「業務をはじめてみないと正確には分かりません。追加料金はその都度請求することになりますね」といったあいまいな回答はさけましょう。

「概算で〇円~〇円ですね。これまでの経験上、どんなに高くても〇円を超えることはないと思います」といった回答のほうが、お客様は安心します。

お客様に見せる書類を手書きで作成しないために

士業の仕事は、パソコンでさまざまな書類を作成する仕事です。
もちろん、手書きで作成してもよいのですが、プロとして、パソコンで作成しないと、恥ずかしいときがあります。

ですから、アドビのPDF作成ソフトは持っておいたほうがよいですね。互換ソフトの場合、必ずといってよいほど一部が文字化けします。文字化けした文字だけ手書きで書くこともできるのですが、プロの仕事として「せこい」印象を与えるので、これも正規版をおすすめします。
今では、ほとんどのソフトが、1台、もしくは数台にしかインストールできないのですが、パソコンを買い替えた時には、継続して使えます!これを知らない方も多いのですが、きちんとアカウントの移行手続きをすると、可能です。
だから、最初にパソコンにソフトをインストールするときは、ユーザー情報やパスワードを控えておいてくださいね。

無料レポート


無料レポートや無料小冊子などの販促資料を用意しておくと、営業活動がしやすくなりますし、見込み客を集めるのに役立ちます。

小冊子等の販促資料を作成するときに重要なのは、情報を出し惜しみしないということです。インターネットが普及した今、誰でもたいていの情報を入手することができます。残念ながら、士業の多くが作成する書類は、国家機密でも何でもありません。その気になれば、誰でも、書類作成のノウハウや書き方のコツを知ることができる時代なのです。
ですから、販促資料には有益な情報をどんどん掲載しましょう。そうすることによって、あなたが専門知識やノウハウを持っていることを広くアピールできるのです。そして、お客様からの信用につながります。情報を出し惜しみするよりも、この分野に詳しい人だと思わせて、受注につなげるほうが、100倍効果的です。
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