行政書士の仕事は、企業や人からの紹介で受任できることも多いです。ここでは、誰から紹介されるのか、紹介されるためにやっておくべきことを整理しました。
行政書士の仕事は誰が紹介してくれるのか?
行政書士の仕事を紹介してくれる企業や人はたくさんあります。これまでの10年間で、私が紹介をいただいたのは以下のような方々です。
- 既存のお客様(法人・個人)
- 司法書士
- 税理士
- 弁護士
- 行政書士
- 社会保険労務士
- 土地家屋調査士
- 業務に関するセミナー講師をした時の受講者
- 経営塾で知り合った経営者
- 連載している雑誌の編集長
- 事務所物件の管理会社(不動産会社)
- ビジネス交流会で知り合った経営者
- たまに行く飲食店の店長
- よく行く散髪屋さん
こうしてみると、士業、経営者、私生活の知人の3つですね。私は、どちらかというと社交的なタイプではなく、公私ともに友人知人は少ないほうだと思います。それでも、これだけの紹介者がいたんだと思って、書きながら少しびっくりしました。
社交的な方、人づきあいの得意な方なら、もっとたくさんの方から紹介を受けられると思います。私の知人の弁護士さんは、開業1年間で300人と名刺交換し、紹介候補者リストにして整理していました。そして、そのリストにある人に月に1回、お役立ち情報などをメールしています。ちゃんと読んでいる人はかなり少ないようですが、それでも継続していると、そこから数件の紹介につながるようです。
紹介で仕事を受けた時に注意しないと後悔すること
友人や知人に対して絶対にやってはいけないこと
親戚や友人から仕事を依頼されることは少なくないと思いますが、絶対にやってはいけないことがあります。
相続と離婚に関して、こちらから営業をかけることです。依頼もないのに、相続手続きの案内や小冊子を送ることも避けたほうがよいでしょう。 特に、普段あまり連絡をとっていないような親戚に、相続手続きの案内などを送ると、大きな誤解を招きます。まるで早く死ねと言っているように捉えられかねません。
ですから、親戚や友人に対して、行政書士であることを知らせたい場合には、業務一覧だけを渡すほうが効果的です。この時、個人向けの業務を多めに書いておくとよいでしょう。個人の場合、どうしても相続と離婚がメインになりがちですが、他にも業務はあります。不動産トラブル、交通事故処理、給料の未払い等々です。その分野の経験やノウハウがなくても大丈夫です。もし受注できたら、その分野に詳しい先輩行政書士と組んで対応すればよいのです。自分の報酬は少なくなりますが、一度やっておけば、次からは自信を持って対応できるでしょう。
他士業から紹介を受けた時、紹介料は払うべき?
紹介料を払うか払わないかについては、賛否両論があります。
弁護士と司法書士は、倫理規定により紹介料の授受を禁止しているようです。
行政書士の場合、明確な禁止規定はないようですが、支部によっては、紹介料をもらわないように、また渡さないように指導されています。
でも、せっかく紹介してくれたのに、何のお礼もしないのは申し訳ない気がします。また、紹介してくれた人にも稼働がかかる場合があります。お客様によっては、いちいち紹介者へ相談する人もいるからです。紹介してくれた人にも稼働がかかる場合、その稼働に対して、あるいは相談対応に対して、業務協力費として報酬の一部をお渡しするのは問題ないと思います。その場合、紹介者にどのような稼働がかかり、どのような対応をしてくれたのか、それにかかった時間はどれくらいなのかを明確にして、それらの稼働に対して業務報酬を渡すという取り決めをしておけば、双方すっきりしてよいと思います。
では、紹介者に全く稼働がかからない場合はどうでしょうか。紹介だけして、あとはお任せしますと言われ、あとは直接やり取りできる場合です。紹介者にも稼働はかかっていません。
その場合、うちでは以下のような対応をしています。
• まめに報告して感謝の気持ちを伝える。
• 継続的に紹介してくれる方には、お中元、お歳暮を贈る。
• 単発の紹介の場合は、菓子折りを送っておく。
たまに、お中元もだめだと言う人もいますが、そこまで厳しく制限することもないかなと思っています。
紹介してもらった仕事が受任にならなかったら
せっかく紹介を受けても、残念ながら受任にならない時があります。面談前にキャンセルになった場合は、こちら側の責任ではないので、気持ち的には楽ですが、面談後にキャンセルになった場合は、自分の説明の仕方が間違っていたのではないのかとか、自分が何か失礼なことをしたのではないかとか、いろいろ考えてしまいます。
でも、ほとんどの場合、そんなことはないんですね。お客様の都合でキャンセルになることがほとんどです。
ですから、キャンセルの理由を聞きましょう。
「念のため、キャンセルの理由を教えていただけますか」とさらっと聞けば、
だいたい教えてもらえます。
もしどうしても教えてもらえなかったら、紹介してくれた人にすぐに報告しましょう。そして、キャンセル原因のさぐりを入れましょう。お客様は紹介者に対して、キャンセルの理由を話していることが多いからです。なぜキャンセルになったのか、一人でもんもんとしているより、理由がはっきり分かったほうがすっきりします。